仲秋

 めっきり涼しくなり朝夕などは肌寒くなった。
 ここ最近チェロに関して自覚の上もがいてきた。
 たかだか二十年と少ししか生きてないけれど、同じもがいたりじたばたするにしても、今が踏ん張りどころらしい、というのが分かった上でもがくのとそうでないのとでは、気の持ちようがだいぶ違うように思う。
 そういう風にあれこれしている中、先日行ったコンサートにおいて一筋の光を見出した。
 持ってるCDを捨てたくなる演奏なんてずいぶん出会ってない。
 目を真っ赤にしながら聴いていて、目指すべき目標を発見し、ぐちゃぐちゃだったものが腹にすとんとおさまっているのを確認した。これまでは自身のよってたつところを思い、今は遠くの目標を見据えている。
 能力、力に関してはこれまでとなんら変わることはないのに、楽器もずいぶん気持ちよく鳴ってくれる。
 これは季節が秋になり、楽器にとっていい環境のなった、というだけではない、というのが今の自分の実感だ。